道はどこまでも続いているから。





「じゃあ汐音な。
その変わり、汐音もその敬語やめろ」



私の返答を急かすように、鈴木先生はサラッと私の名前を呼んだ。


その顔は笑ってる顔じゃない、真剣な顔をしている。






「…今は、おばあちゃんと暮らしてる。
というより、暮らしてたかな」





おばあちゃんが入院しているいまは、もはや一人暮らしのようなもの。



「過去形?」


「おばあちゃん、入院してるから。」





車内の空気が冷えていく。






< 32 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop