道はどこまでも続いているから。




「それじゃあ今は一人?」



先生の言葉が、心なしワントーン下がった気がした。







これまで自分の事をちゃんと人に話したことなんてなかった。

この先、どう話せばいいのかわかんない。





「でも、寂しくないよ。
ずっとこんな家庭だったし。」


いつも自分で自分に言い聞かせていた「寂しくない」という言葉。





「強がんなよ…。
強がってんの、丸分かり」




先生はそう言っていつの間にか流れていた涙を拭ってくれた。


優しい、先生の指先。





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