ファインダー越しの恋
それからさらに、一ヶ月後。
…私は初めて、写真の編集を一人で任される事になった。

慌ただしく仕事をしていると、誰かが、私の頭を叩いた。

「何するんで…」
私は思わず口ごもる。
…ヒイロが私を見下ろしている。しかも、笑顔で。

「…桜子ちゃんが編集担当なんだって?」
「はい…え?この写真…」
確か、違うカメラマンが担当だって…

「谷口、別件が入って、今海外に飛んでんだよな。俺は、その代打」
「…」

「…まだ、写真が足りないんだよ。今から、取りに行くから、助手、宜しく」
「…はい?って!…おもっ!」

大きな袋。…その中には、大事な機材が入っている。

「絶対落とすなよ?落としたら、弁償してもらうから」
そう言って、ニコッと笑うヒイロ。

「…一体、いくらなんですか?」
恐る恐る尋ねると…

「ん〜…ザッと、40万くらい、かな?」
その言葉に、青ざめる。
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