ファインダー越しの恋
私とヒイロに支えられたカメラ。

…下敷きになったヒイロの上に、私は倒れこんでいて。
慌てて起き上がろうとするも。

…それをする事は叶わなかった。

「・・・あの」
片手で、私をしっかりと抱きしめているヒイロ。

私はどうしていいかわからず、固まる。

「…細いな」
「・・・」


「ちょっと力を入れたら、折れちまいそうだ」
「…ヒイロさん…離して・・・」

そう言うのが精いっぱい。

「離さない」
「・・・」
その言葉に困惑する。…一夜限りの女と私は、同じ扱い?

そう思うと、腹が立った。

「一緒にしないで」
「・・・は?」

「私は…そんな軽い女じゃない」
そう言って睨めば。

…ヒイロは困ったように眉を下げ笑った。

でも、それは一瞬の事で、すぐに真剣な眼差しになる。
私はその顔に、更に困惑する。


「…お前は別格だ」
「・・・ぇ」

驚く私を、ヒイロは手放した。

「…帰るぞ」
「…今の、どういう」
・・・意味?
私は、ヒイロを見つめる。


「そんなの自分で考えろ」
「・・・・」
…分かるわけがないのに。
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