ファインダー越しの恋
帰るって言ったくせに…
…睨み続ける私には目もくれず、ヒイロは写真撮影に没頭している。

時間が経つに連れて、睨んでいるのも疲れてきて、ぼんやりヒイロの撮影姿を見ていた。

…終わった。

「…終わったから、帰るぞ…おい!」
「…ん?…終わった?」

…いつの間にか居眠りしていたようで、呆れ顔でヒイロは私を見下ろしていた。

「どんだけ、大物だよ」
「す、すみません…」

最近毎日の様に遅くまで仕事をしているせいか、睡魔に勝てなかった。


「…まだ、慣れないか、この仕事?」
「…そうですね。覚える事だらけで、毎日時間に追われて、それについていくのがやっとです」

そう言って、苦笑いすると、ヒイロは優しい眼差しで、私の頭をポンと叩いた。

…その行動に、ドキッとしない訳がない。

それを見透かされないように、なんでもない顔をした。

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