ファインダー越しの恋
…結局、この日も残業で、写真編集に、没頭していた。

ヒイロは、別件で他の部署に行っていた。

「あ〜…終わった〜…」
編集が終わり、背伸びをする。
ここは、会議室。…ヒイロと途中まで、二人きりで編集をしていた。

気が散るから、ここがいいと、ヒイロの提案で。

書類の整理をして、会議室を出ようとドアを開けた私は、思わずバタンと勢いよくそのドアを閉めてしまった。

「…何、あれ」
そう言って、大きな溜息をつく。

だって、ドアの向こうで、男女が抱き合ってた。

…しかも、ヒイロと…女が。

もうダメだ。…ヒイロの事は、諦めなきゃ。

ヒイロは、誰も好きにならない。彼女なんて存在は、不必要。

…私では、ヒイロは手に負えない。
今頃、和美の言葉を信じる気になるなんて…こんなに、ヒイロを好きになったくせに…

俯いた私の目から、涙か一粒、ポトリと落ちた。
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