猫の恩返し
「ちょっっっ…」


「何?」


「前ッ!隠せよ!」


勢いよく顔を背ける

あまりの勢いに首を少し捻ったみたいで、頭の芯が痛い


「隠すって何を?」


相変わらず声のトーンも変わらず、素のままの姿で俺に近寄ってきた


「わっ!近寄るな!」


『近寄るな』は言い過ぎたけど、女の人とマトモに付き合ったことがないからか、刺激が強すぎる


「何で?隠さないといけないものなんか、無い」


「は?何言ってんだよ!胸と股!」


「?」


自分の体を見下ろし、また首を傾げた


「そういえば、人間って何やらゴチャゴチャ身に付けてる」


「そうだよ!俺の服貸してやるから、それを着ろ」


慌ててベッドから飛び降りると、収納ケースからシャツとハーフパンツを引っ張り出し、投げる
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