猫の恩返し
あれ?

そういえば、係長って一人暮らしじゃなかったっけ?


ぞろぞろと駐車場まで歩く道すがら、そんな疑問が生まれる


「乗って」


係長の言葉にふと顔を上げると、目の前に停まっている車の車種に驚いた

黒い車体のボンネットには、『B』の文字に羽根のマークのエンブレム


すげー


「ベントレー…ですか…」


左ハンドルのミュルザンヌ


「なぁに、それ?」


「変に触んなよ。その車、傷付けたら首くくらなきゃなんねーからな」


不用意に触ろうとするナツを制止する


「主任、車詳しいんですか?」


「外国製の車はあんまり知らねーけど、その車新車だと3千万、中古でも2千万は下らないからな」


ナツと同じく興味津々の下村に忠告した


「「えーっ!」」


牧野と下村が同時に声を上げる

ナツは意味が分からないのか、首を傾げた


「係長、すごーい!」


「そんなお金あったんですね」


「いやいや、そんな褒めても何も出ないよ?」


そう言いながらも、嬉しそうに頭を掻く係長
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