猫の恩返し
「んじゃ、行きますかー。ちょっと狭いけど、我慢してね」


鼻歌交じりに後部ドアを開け、執事のように女3人を招き入れる


「小岩井くんは助手席ね」


「言われなくても…」


目が合い苦笑した



△▼△▼△▼



車で高速を走ること一時間


「こ…こ、ですか?」



着いたのは、首が痛くなるほどのタワーマンション


「そ、30階。キリがいいでしょ?」


「すご…」


俺も下村も上を見上げた後、しばらく放心状態

下村から聞いてたからだと思うが、牧野はしれっとした顔をしていて、それがまた今の2人の関係を物語っているようだった


「35階にスカイラウンジがあるから、そこで飯でも食おうか?奢っちゃるよ」


どこまで本気か分からないことを言い出す係長


「いや…。出しますよ」


「そうですよ、係長」


「別に、ここで食べなくてもいいんじゃないですか?」


俺と下村が遠慮すると、違うところに行こうと牧野が提案する


「あ、何なに?俺の部屋がいい?そうね、それがいいね。行くよー」


有無を言わさず、ロビーへと歩き出した
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