猫の恩返し
△▼△▼△▼



「お邪魔しま───…すっ、げ…」


「うわぁー!すごーい!絶景!」


「きれー!」


相変わらず押し黙ったままの牧野を除き、その絶景に驚嘆(きょうたん)する俺達

玄関の広さも然(さ)ることながら、通されたリビングダイニングの広さと、一面ガラス張りの壁に言葉を失った

眼下には、チラホラと明かりが灯り始めた町並みが広がっている


「まだ明るいからあんまりだけど、日が沈んだらもっと綺麗に見えるんだよ」


片手にワイン、もう片方の手にワイングラス3つを持ち、俺達の背後に立つ係長

空はまだ日差しに照らされていて、ようやく朱色に色付き始めた東側が消えてしまいそうなぐらい


「ボーッと街を見ながら酒を飲むのも、結構いいもんよ」


カチャリと音を立ててローテーブルに置かれるグラス達


「誰が飲むんですか?」


俺達の人数は5人

で、グラスは3つ
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