猫の恩返し
「ん?どした?」


袖の先には、俺を見上げるナツの姿


「あのね、夜景見に行きたい」


「はぁっ?!」


突然のことに、間抜けな声が出た


「牧野、お前…またナツに変なこと教えただろ…」


「 『変』ってなんですか。ナツちゃんが『綺麗』って言うから、夜景はもっと綺麗だって教えただけですよ」


要らない知識ばっかり授けやがって………


「ね…。ダメ?」


ウルウルした目で見られると、調子が狂う


「いつ行くんだよ、そんなの」


「連れて行ってあげるぐらい、いいじゃないですか。小岩井主任ってば、ひどい」


『ひどい』なんて、お前だけには言われたくねーよ…


冷たい視線を向ける牧野を軽く睨んだ


「ねー、トーゴ。行きたいー。行~き~た~い!行きたい行きたい行きたーい!」


うるさい………


思わず耳を塞ぐ
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