猫の恩返し
「何が『いきたい』の?可愛い女の子がそんな言葉ばっかり叫んでたら、誤解されちゃうよ?」


ビシッと音が鳴って空気が凍りつき、皆が石化したような雰囲気にしたくせに、当の本人はヘラヘラ笑っていた


「かかりちょー…」


「あー、ゴメンゴメン。人の彼女掴まえてその発言はなかったね」


ドスの利いた声で名前を呼んでも、相変わらず飄々としている

テーブルには、ワインの他にチーズやサーモンのカルパッチョ、クラッカーにマリネと、酒のつまみが山のように並べられていた


「これ…どうしたんですか…?」


「これ?お手伝いさんに届けてもらうように頼んでたんだよ。小岩井くん達が来なくても、元々2人はうちに呼ぶ気だったから」


一言多いからかいつも台無しになっているけど、見てる限りやることはスマートなんだよな

………

ん?


「今『お手伝い』って言いました?」


「うん、言った」


すげー

本当にお坊っちゃまじゃん


職場に居るだけでは分からない係長の私生活に、自分と比べてしまいつい落ち込む
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