猫の恩返し
「「「ご馳走様でした」」」
「いえいえ、そんなにおもてなし出来なくて悪かったね」
玄関先で揃って挨拶してマンションを出る頃には、頭の真上で月が煌煌(こうこう)と輝いていた
『ホントに電車でいーの?俺、送るよ?』
そう言って車を出そうとする係長を皆で制止し、他愛ないことを喋って歩く牧野と下村の斜め後ろを黙って歩いた
牧野は反対方向、下村は違う線ということで、駅に着いて別れを告げ、ナツと2人電車に乗る
「トーゴ、今日楽しかったね」
ナツの足元には女物のサンダル
係長の昔の女が置いて行ったそうで、処分するにしきれなかったものをナツが履いて帰ってきた
「ああ」
「また、皆であーやって騒ぎたいなぁー」
「そうだな」
「夜景も見に行こうね」
「分かったって」
この時、ナツがどんな想いでそんなことを言っていたのか───
その時の俺は、知らなかった
「いえいえ、そんなにおもてなし出来なくて悪かったね」
玄関先で揃って挨拶してマンションを出る頃には、頭の真上で月が煌煌(こうこう)と輝いていた
『ホントに電車でいーの?俺、送るよ?』
そう言って車を出そうとする係長を皆で制止し、他愛ないことを喋って歩く牧野と下村の斜め後ろを黙って歩いた
牧野は反対方向、下村は違う線ということで、駅に着いて別れを告げ、ナツと2人電車に乗る
「トーゴ、今日楽しかったね」
ナツの足元には女物のサンダル
係長の昔の女が置いて行ったそうで、処分するにしきれなかったものをナツが履いて帰ってきた
「ああ」
「また、皆であーやって騒ぎたいなぁー」
「そうだな」
「夜景も見に行こうね」
「分かったって」
この時、ナツがどんな想いでそんなことを言っていたのか───
その時の俺は、知らなかった