猫の恩返し
「今日はねー、サンドイッチ作ろうと思ってるの」


俺が職場に行っている間に家事を済ませ、仕事から帰ってくるとナツの作った料理がテーブルに並んでいるようになった

料理の腕も格段に上がっていて、出し巻き卵は俺のお袋が作る鰹だしが効いたものとほとんど変わらないぐらい

時々、異常なほど鰹節が減っているのは、労いの意味を込めて目をつぶっている

有給で休む牧野や下村とも、一緒に遊びに行ったりしているらしい

そんなナツを見ていると、本当に根っからの人間になったんじゃないかとさえ疑うほどだ


「キャンディー型の可愛いの作る」


「そんなもん、口に入ったら何でも同じだろ」


「トーゴってば分かってないなぁー。雰囲気が大事なの!」


一丁前に語り出して…


「あー、はいはい」


「興味ないみたいな反応、辞めてよー」


プクッと膨れ、そっぽを向くナツが可愛い

猫だなんて、俺の記憶の中から消え去ってしまいそうだ
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