猫の恩返し
「会いたいか?」


「………うん…。でも今は………トーゴが居るから…平気」


泣き笑いの表情で、そう言う

ずっと一人で生きてきたナツ


「死ぬまで面倒見てやるから。寂しいかもしんねーけど、今は我慢してろ」


俺の言葉に黙って頷いた


「………トーゴ」


「何?」


「…私が居なくなったら、トーゴ…寂しい?」


「バ───」


『バカ言ってんじゃねーよ』


そう笑って済まそうと思ったのに、ナツの表情は真剣で…


「何言ってんだよ」


ナツがどこかに行ってしまいそうで…


「どこか…行く当てがあるのか?」


それが永遠の別れになる気がして…


「心配するに決まってるだろ」


グリグリと、乱暴に頭を撫でる


「…ゴメン…」


「勝手に…居なくなんな…」


辺りを眩しく照らす月を見上げ、星に祈った
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