猫の恩返し
△▼△▼△▼


あっという間に夏の終わりが近付いてきて、朝晩が冷え始めるようになってきた

肌寒くて目が覚めた早朝───


「───っふ、くちゅん!」


猫のくしゃみは、人間とは少し違うらしい


「大丈夫か?」


「う…ん、大丈夫………だと思う」


昨日の晩からズルズルと鼻を鳴らし、苦しそうに口で息をしている


「しんどかったら寝てろよ。何もしなくていいから」


「んー…。いってらっしゃい…」


玄関の鍵を閉めると、中から『くちんっ!』というくしゃみが聞こえてきた


季節の変わり目は、人間でもよく体調崩すしな…


ナツの体調を気にしながら電車に乗り、署に向かった



△▼△▼△▼



「………は?」


署に着いて課長から聞かされた途端、口をついて出た言葉


「だから何でか知らないけど、小岩井くんには隠しておいてくれっていうから…」


申し訳なさそうな顔で言うものの、突然のことに絶句する
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