猫の恩返し
「笑ってる…ってことは、やっぱり何かあったんだな?何なに?俺、そーゆー話めちゃくちゃ好きなんだよねぇー」


「係長っ!」


「牧野ちゃんのケチー」


まるで、母親に怒られている子供みたいだ


「すみませんでした」


もう一度…今度は頭を下げて謝り、椅子を取りに行き席に着いた


「………小岩井くん…。同じ男なんだし、何かあれば相談に乗るからさ」


「ありがとうございます」


社交辞令を返し、また書類に目を落とす


「俺…言ったよね。5回以上呼んだって…」


「へ?」


そんなこと………

あ、言ってたな


「すみませんでした。何ですか」


係長の前に行き彼を見下ろすと、同じように俺を見上げる係長と目が合い、気まずくなる
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