猫の恩返し
△▼△▼△▼



「ただいま…」


玄関を開けると、いい匂いが鼻を衝(つ)く


「ナツ、料理作ったのか?」


風邪気味だったはずだから、大人しくしとけって言ったのにな


ネクタイを緩め、靴を脱いだ

今日は決裁の印鑑の他にも、コーヒーの抽出時間を間違えて炭のようなコーヒーにしたり…と散々な一日だった

そのせいで、もう11時


「ナツ?」


いつもなら、多少しんどくてもすぐに玄関まで飛んできて、俺の腰にへばり付くはずなのに…


「ナツ、大丈夫か?」


心配になり、声を掛けながら部屋に入る


「んだよ、寝てるのか」


布団の中でスースーと寝息を立てているナツのすぐ横に腰を下ろすと、ギシッと音がしてベッドが沈み込んだ
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