猫の恩返し
「アイツ…どーやって、牧野と連絡取ってんだよ…」


疑問が口を衝(つ)いて出た

電話を買い与えたわけでもないし、あれ以降職場にも顔を出していない


………

俺…ナツのこと…何にも知らねえじゃん


普段仕事に行っている日は帰宅時間が遅く、待っていたナツとテレビを見ながら食事

休みの日はナツの行きたいところに付き合うか、テレビを見ながらゴロゴロ


………やってること最低だな、俺…


ナツと向き合うより、テレビと向き合っている時間の方が長いかもしれない


『じゃあ部屋は別でもいいから、一緒に寝ようよ』


ナツの言葉が頭で繰り返される


…寂しかったのか?


言葉の真相は、本人にしか分からない

それでも、今のままではいけないんだと生活態度を改めることにした
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