猫の恩返し
△▼△▼△▼



スズメの鳴き声で目が覚める

明け方まで起きてたはずなのに、いつの間に眠ってしまったんだろうか

目覚まし時計に手を伸ばし、時間を確認した


───7時…


いつもなら、電車に乗っている時間だ


………

あ…れ………?


ボーッとした頭で部屋の中を見回す


そうか

引っ越したんだったな


目覚ましを止めると、いつもナツの背中が見えて───


『あ!トーゴ、おはよー。もうすぐ朝ご飯出来るよ』


そう言って、笑顔で振り返ってくれたんだよな………


「ナツ!」


ベッドから飛び起き、キッチンへ向かう

リビングにも、それに続くキッチンにも…ナツの姿はなかった

念のためナツに宛(あて)がった部屋を覗くも、戻った気配はない
< 160 / 215 >

この作品をシェア

pagetop