猫の恩返し
彼女の意図が掴めず、付箋を剥がし頬杖を突きながら、しばらくそれを眺めた


とりあえず登録しとけばいいのか


胸ポケットから電話を取り出し、机に貼りつけた付箋と画面を見比べながら登録を済ませる

何も反応しないのは失礼かと思い、登録したことを知らせるメールを一通送信した

30分ほど経って、胸ポケットの電話が短く震える

二つ折りの電話を取り出し画面を開くと、新着メールの表示

開けてみると、牧野からの返信


『ナツちゃんと何かありました?』


牧野の席に視線をやると、そこは空席

きっと、トイレかどこからか送信しているのだろう


『何で?』


私用の電話を机の上で開いていることに後ろめたさを感じ、短く返信をして電話を折りたたんだ

そして、それを直そうとした瞬間、再び受信

仕方なく広げて見ると
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