猫の恩返し
「大喧嘩でもしたんですか?」


「知らねえよ。勝手にアイツが切れて、勝手にどっかに行ったんだから」


「え?」


牧野の動きが止まった


「何?」


それを見て、不安に駆られる


「どこかって…。家に帰ってないんですか?」


「牧野ん家に居るんじゃないのか?」


顔を見合わせ固まった


「心当たりは?」


「ねーよ、そんなもん。俺はてっきり、お前なら何か知ってると思ってたんだよ」


急いで席を立つ


「悪い、半休取り消して全休にしといてくれ」


「私も何かお手伝い───」


「いや、いい。ナツから何か連絡あったら、すぐに俺に連絡くれ」


「分かりました」


まだ席に座ったままの牧野に頭を下げ、急いで席に戻り荷物をまとめた
< 167 / 215 >

この作品をシェア

pagetop