猫の恩返し
ウトウトとしかけて、目が覚める

いつの間に潜り込んできたのか、背中にナツがへばり付いていた


「トーゴ…?」


家に居る時と同じ状況なのに、場所が違うからか心拍数が上がる


「起きてる?」


「…起きた」


「私のせい?」


「いや…」


「そう」


『よかった』と、呟いて顔を背中に擦り付けてきた


「ね…」


「ん?」


「さっき…男女の複雑な感情のこと、知りたいって…言ったでしょ?」


「あー、うん」


静かな空間

耳元で喋られているわけでもないのに、ナツの声が体中に刺激を与える


「本当はね、本で調べたの。本能とか理性とか…。猫にはない感情だから理解は出来なかったけど、人間って色々葛藤して生きてるんだなって…。そう思った」


「ま…本能のままに生きてりゃ、色々不都合も出てくるだろうしな」


皆が皆、秩序を守って生きてりゃ警察なんて要らないわけだし
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