猫の恩返し
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部屋の鍵を忘れてたことに気付き、チャイムを鳴らすとすぐにドア開いて、中から牧野が出てくる


「主任…上着は………?」


「いつだ!」


「え…」


「いつ居なくなったんだ!」


牧野を玄関の中に押し込み、目を潤ませ体を震わせる彼女の両肩を掴んで叫んだ


「晩ご飯の買い物に出掛けて………帰ってきたら居なくて………」


『すみません』


そういって泣き崩れ、何度も謝る


「分かった」


彼女の肩から両手を離し、ドアを開けて飛び出した


「小岩井主任!」


背後から、慌てて牧野が声を掛けてくる

振り返って彼女の顔を見た


「今夜も…また、大雪が降るって………」


雪が降ることはただでさえ珍しいのに、記録にないほどの降雪量

そんな中、フラフラの体で出て無事なわけがない
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