猫の恩返し
「───…っ」


声を殺して泣くナツ


何の………冗談だ


「ふざけんなよ…」


「トーゴ…」


「…んだよ、これ…」


「トーゴ」


「何で触れねーんだよ!」


「トーゴ!聞いて!」


雪が音もなく降り積もる公園で、俺とナツの声が響く


「もう…人間の姿で居るのは限界なの…。だから、聞いて?」


言いたいことは山ほどあった

だけど、黙って頷く


「ありがとう」


そう言い、またナツが口を開いた
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