猫の恩返し
「何で………もっと早く…言わなかったんだよ…」


「自分の寿命ぐらい………自分で分かってたから」


「───っ」


「お願い…。今ならまだ息があるから…。あの中から私を出して…。最後に………最期に、トーゴに抱き締めて…もらいたいの…」


最期───


残酷な宣告をされる


「ナツ…」


「ねえ…トーゴ………。私ね。トーゴのこと………大好き、だったよ…」


「ナ………ツ」


「一番最期に…我儘………聞いてもらってもいい?」


何度も黙って頷いた


「トーゴ………。トーゴ…好き………。───愛してるよ。ねえ………死にたくない…。もっともっと………ずっと一緒に居たいよ…。ト───」


「ナツ!」


慌てて手を伸ばしたものの、もう姿すら見えない
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