猫の恩返し
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「わぁ…。すご…い」


ファッションビルのすぐ近くにあるコインパーキングに車を停め目的地まで歩くと、半分口を開いたままキラキラと目を輝かせ、ビルを見上げる

中に入ってみると、平日の昼間ということもあってか、小さな子供連れの母親達が多い

向かいから歩いてくる人達は、決まって俺らをジロジロと見ていった

背中にも、痛いほど視線を感じる

夕方や休日は学生やOLなどに人気がありそうなこの場所

平日の真昼間からほっつき歩いている男と、男物の格好に身を包んだ女の子(?)の組み合わせは、明らかに異色過ぎる


なるべく、1か所で揃えばいいんだけど…


女物のことに詳しくない俺は、適当に店に入って出てを繰り返した

何を見ても楽しいのか、ナツはひたすら無言でキョロキョロしている


下着に靴に服…

女って、めんどくさいな


サラサラの綺麗な黒色のロングヘアに色白の肌

ゴスロリ系やフェミニン系が似合うだろうと思い店に入っても、フリフリの洋服を見ると本能なのか手をグーにしてひたすらじゃれるので、選ぶどころではない
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