猫の恩返し
店を出てビル内を歩く

俺の服は別の袋に入れて、紙袋の中に詰めてくれたらしい

店員の配慮に、現場を指導する立場の俺としてはただただ頭が下がった


職は違えど、接客業から学ぶことは多いな

やっぱり…男より女の方が、こういう能力に長けてるか………

俺のやり方も、また一度再考の余地が必要だな


そう考えながら歩いていると、ふと周りの視線が気になり辺りを見回した

よく見ると、注目の的になっているのはナツだ

決して変な歩き方ではないのだが、カツン、ズル…カツン、ズル…という不思議な音を立てて歩いているからか、すれ違う皆が見ていく

でも、注目されているのはそれだけではなさそうだ

小さい頭、細長い手と脚、くびれた腰回り、全体的に無駄な肉はない…それでいてある程度発達した胸


『スレンダーグラマー』


そんな言葉が一番ピタリとくる容姿


俺の服着てる時は全然分からなかったけど、かなりスタイルいいよな…


全裸も見ているのに、その時はそんな精神状態じゃなかったからか、改めて見てみるとモデルといってもおかしくないほどのスタイルに思わず見惚れてしまう


「トーゴ!」


「ん…あ、どうした?」


「何回も呼んだのに、何で無視する!」


「ああ…。そりゃ悪かった。何かあったか?」


至近距離で見上げられ、少しだけ後ずさった
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