猫の恩返し
「それで…どうした?」


「現在はこちらの署で保護しています。色々とお聞きしたいことがありますので、署までお越しいただけますか?」


思わず、心の中で舌打ちをした


事情聴収…か…


「分かった。昨日休んでたから、仕事が溜まってるんだ。それがある程度はけたらそっちに向かう。悪いが、それまで預かっててくれ」


俺達…警察事務職員は行政職で、現場職の警官とは違う立場だというのに、規則等などの縛りは警官と同じ

要するに、こっちの家庭事情等…素性はバレバレなわけで…

下らない小細工をすれば、すぐに穴を突かれる


さて…何て言い訳をしようか…


脳みそは、もう仕事どころではなくなっていた

ナツはどう見ても猫には見えないし、成人にも見えない

『未成年者略取及び誘拐罪』、『逮捕・監禁罪』、『特別公務員職権濫用罪』

色んな罪状が頭の中に浮かぶ

何かの罪状をなすり付けられ、でっち上げられたら…と思うと、気が重い


どうやって切り抜けよう…


また、大きな溜息を吐いた
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