猫の恩返し
△▼△▼△▼


「随分…歓迎されてるみたいだな」


「場所がなかったもので…。すみません」


口ではそう言うものの、決して場所がなかったわけではないことは、警察署勤務の俺には手に取るように分かる


「何で、トラ箱なのか…。ちゃんと分かるように説明してくれるんだよな?」


保護室…通称『トラ箱』

泥酔者を保護収容するために設けられた部屋だ


「あ…っと…。私では何とも…。すみません」


「誰がトラ箱使う許可した?」


「あの…。私は何も知りません。申し訳ありません!」


「じゃあッ!分かるヤツ連れてこいよ!」


握り締めた拳で廊下の壁を殴ると、俺を案内した警官は『はいッ!失礼します!』と大声で返事をし、敬礼をした後慌てて飛んで行った

その後ろ姿を見送って大きく溜息を吐き、保護室の扉を開ける

中では、パニックになったナツが右往左往していた


「ナツ」


部屋の中を動き回っているナツに声を掛けると、一瞬ビクッと体を震わせた後、警戒しながら俺の方へと振り返る
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