猫の恩返し
「お前は自由でいいよな…」


風呂上がり、ベッドの上で丸まったままの猫にそう呟いてみる

目を開けようともしない

思わず心配になって顔を近付けると、体が上下に動きちゃんと呼吸をしていることに安堵した

ノミ退治の薬の説明書を読み、首筋に液体を滴下する


これで何とかなるか…


今日はまだ水曜日だ

あと二日、仕事がある


「土曜日まで待ってろよ。病院連れていってやるから」


頭を撫でてやると、薄目を開けてチラッとだけ見、フイと顔を反対側に向けまた眠りについたようだ

結局、その日の夜は俺が起きている間、一度も起きてこなかった
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