猫の恩返し
事務所に戻るともう2人は戻っていて、ナツは俺の姿を見て飛んでくる

ギュッと抱きつかれ、周りに視線を移すと皆がニヤニヤ


「ちょっ…。ナツ、離れろって!」


「だって、寂しかったんだもん!」


「おーおー。お熱いことで…」


「係長!からかうの辞めて下さい」


そう言うと、係長が一言


「じゃ、署内でイチャつくの禁止」


「僕だって、好きでしてるわけじゃないんですけど…」


「じゃあ、独り身の俺に対する当て付けだ?」


コイツ、ワザとだ………


ニヤニヤしてる係長

上司だから、言いたい気持ちをグッと堪えて我慢する


「竹田係長。男の嫉妬はみっともないですよ?」


牧野がサラリと口を挟んだ

彼女を見てみると、視線は相変わらずパソコンのまま

興味があるのかないのか…


「牧野ちゃん。いっつも思うんだけどさ、俺に対する風当たりキツくない?」


「係長のセクハラ発言がひど過ぎるからです。自業自得ですよ」


苛立っているのか、パソコンをタイピングする音が大きくなった


「竹田くん…。女性を敵に回したらダメだよ」


静かに…そして、自分に言い聞かせるように何度も頷く課長

課内の空気が微妙になったことは、言うまでもない
< 65 / 215 >

この作品をシェア

pagetop