猫の恩返し
△▼△▼△▼



「トーゴ!お昼だよ!ご飯食べよっ!」


休憩時間の音楽が鳴ると共に、ナツが俺の席に飛んできた


「ほら!こんなの置いといて───」


机の上に広げた起案書や過去の資料をグチャグチャと一まとめにし、隅に押しやる


「何すんだよ!今、それどころじゃ………」


パソコンの画面に集中してた俺は、グチャグチャになった書類を見て頭を抱えた

順番通りに並べ入力してる最中なのに、また並べ直して揃えなければいけない

枚数がかなりあり、よく似た内容とかもあったりして、分かりやすいよう手書きのメモまでしたのに…

揃えるだけでも結構な時間を割いたので、またそれをしなければならないと思ったら、気分が一気に墜ちる


「あ゛─────っ、もー!やってられねー!!!」


椅子の背もたれに体を預け、盛大に溜息を吐いた


「あ………。ト…トーゴ………」


「あ゛?」


グリンッと、頭だけナツの方を向け見上げる

いけないと思いつつも、大人気なく荒い声を出した


「あ、あの………。ご、ごめん…なさい………」


シュンとした表情で俺を見下ろすナツ


「………悪かったと思ってる?」


俺の言葉に黙って首を縦に振る


「じゃあ、これからはいきなり仕事の邪魔すんなよ」


「………うん」


「飯食うか」


「え?」


「弁当………作ってきてくれたんだろ?」


「うん!」


満面の笑みを見せると、与えられた席に戻り、弁当箱を抱えて走ってきた
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