猫の恩返し
うげっ、まっず…


何をどうしたら間違うのか…玉子焼きはこれでもかというほど甘い

塩と砂糖の分量を間違えたにしても、程がある


「ね!どぉ?美味しい?」


目をキラキラ輝かせ覗き込んでくるナツ


「………食ってみろ」


あーんと口を広げるナツの口内に、もう1つの玉子焼きを放り込む

モグモグと口を動かし飲み込んだところで、質問してみた


「どう?」


「…『どう』って…。これ、何かおかしいの?」


………ダメだ…


机に肘をつき、手のひらでおでこを擦る


「牧野は?味見しなかったのか?」


「琴美さん?食べてない。何で?」


いや…もう………

ってゆーか、何で食わねーんだよ!


「美味しくない?」


「焦げてるし…分量おかしいし…。ハッキリ言って不味い」


「『マズイ』って何?」


「美・味・し・く・な・い!」


この際ちゃんと言っておかないと、またこんな料理を食わされるかもしれない…そう思って、ハッキリと口に出した

言い終わるか終らないか…ナツの両目に涙が溜まる

唇と肩を震わせ、嗚咽を堪えているらしい
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