lovin' it
コーヒーがそろそろ冷めきったころ、彼は自ら彼女と別れたいきさつを語りだした。


他人のことでむっとした、その顔すらも愛おしいと、余計なことばかりを頭にめぐらせて聞く。


その話ぶりからも、もはや気を晴らす必要などどこにもなかった。


「最近放っておかれてたもんでさ。何だと思って追及したら案の定、浮気ときた」

「懲りないね。前も似たようなものだったじゃない」

テーブルに肘をつき、少々呆れたような口調で話してみる。

「あれはむこうが離れてったの。今回はこっちからおさらばしたんだ」

「浮気されてたんなら同じようなものよ」


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