償いのprincess〜2度目の仲間〜《上》
「っなんでお前が昔の白虹を知っている?」
……
バラしてしまおうか。
「…美帆……。」
俊介は私の方へ歩いてくる。
なんで?なんでわかった?
フードはまだとっていない。
どうして────
パサっ
俊介の手によってフードがとられた。
私の黒い髪がなびく。
私は俯いた。
きっと泣きそうな顔をしているから。
苦しんだ顔を…しているから。
「お前が下坂美帆かぁ??
フッこれはちょうどいい。」
そんな言葉も今は私の耳を通り抜ける。
「美帆……」
私は今、美帆じゃない。
美帆でいると、壊れてしまう。
「………話は…後だ。」
俊介の目をしっかりとみる。
「ああ。」
私は一歩前へ出た。
「無視してんじゃ「黙れ。」っ!」
私は生徒の方をみて息を吸う。
「今すぐここから立ち去れ!!!!教師も何をやっている!!!!みんな怪我するぞっ!!!!死にたいのか!!!!」
教師達は抜かしていた腰を持ち上げ、生徒を誘導する。
これで私達だけになった。
「まさかお前が下坂美帆だったなんてなぁ。」
男はニヤリと笑う。
「だからなんだ?殺すか?」
私は思った以上に冷静だった。
そのすました冷たい声が体育館に響く。
男は私の方へ寄ってくる。
「美帆っ逃げろ!」
俊介は焦っている。
「闇に包まれし目は、星の光さえ見えぬ。黒く塗られし心は月の光の癒しを知らぬ。命を無駄にする者には天罰を。」