償いのprincess〜2度目の仲間〜《上》
体力測定とかの時、本気出さないで走ったから8秒だったはず。
1000mも平均にした。
「あの、先生。私をそんなにいれても勝てないと思いますよ?」
先生は何かを考え込んだあと、
「体育の先生が、あいつは手加減してるだけで本気出したら学年トップとか言って笑ってたぞ?」
………私は嘘が下手くそなんだった…
学年トップは言い過ぎだけど。
先生の言葉に反論できなくなり、座る。
それにしても、周りがうるさい。
「美帆様走るんですって~!!!!」
「運動もできるなんて流石ね!!!!」
…ひどい変わりようだよ。
前までいじめてたくせに。
仲良く和解したわけでもなく、距離を置いて尊敬されても困る…。
「相沢もだって〜」
「いくら気に入られたからって、美帆様と一緒に走るなんて許せない!!!!」
気に入る…??私が…??
私が文句を言おうと立ち上がると、またスカートを引っ張られて、「いいよ」って言う。
だけど私は、もう堪忍袋の緒がきれたってやつで、沙奈の手を振りほどいて立ち上がった。
「私が気に入ったから一緒にいると思ってるの??
友達よ。気に入ったとかじゃない。
それに、私は尊敬されるようなことは一つもないし、沙奈の方がすごい人だと思うよ??」
怒鳴ったりすると、沙奈が八つ当たりを受けるから、にこやかに、でも冷たい目をしてゆっくりと言った。