償いのprincess〜2度目の仲間〜《上》
私に出来ることは、勇気づけることだけ。
私は、みんなに向かって口パクで言った。
「が ん ば れ」
最後にはガッツポーズをしてみせた。
こんなんじゃやる気でないかな…?
私が苦笑いしていると、
「行くぞぉ!」
と、クラスの男子の紅木が走り出した。
それが始めの合図のように、みんなが動きだす。
次第に、女子と男子に真っ二つに別れた。
少しずつ、人数が少なくなっていく。
人の隙間からクラスの人達がみえる。
紅木に忍び寄る影を見つけた。
危ないっ!
紅木は気づかない。
…っっ!
「紅木!!!!後ろ!!!!」
届くか届かないか分からない。
周りがうるさすぎて。
紅木は振り返り、近づいていた人を倒す。
よかった…。
「止めっ!立っている者を数える。」
周りを見渡すと、ダントツで私のクラスの勝ちだ。
「一位!D組!」
「うぉぉぉぉ!」
…怪我人を手当しなきゃ。