償いのprincess〜2度目の仲間〜《上》


息を吸い込んでなるべく大きな声で話始めた。



「白岡高校一年、下坂美帆です。同じ高校の人は私をよく思っていないかもしれません。両親がいない────。本当のことです。だけど、私を庇って死にました。東城組という組に殺されました。」





全部、全部話そう。






「そのあと、ある族の姫になりました。だけど…私のその大切な仲間をまた、東城が殺した。


私は今まで、罪滅ぼしのために生きてきた……。暗闇にいた私に、光を与えてくれたのが俊介…。


また、東城がここへ来るかもしれない。私の仲間を殺しに。」




みんな私を拒絶するかな?


「拒絶」「不安」その言葉で頭がいっぱいに埋め尽くされた。


拒絶されるかもしれない。それでも、全てを話したい。


逃げるな…逃げるな。

そう自分に言い聞かせた。






「私のせいで、この族が狙われる。こんな私が姫になっても…い、いいんですか?」



返事を聞くのが怖かった。

拒絶されたらどうなるんだろう。また振り出し…?




ううん、違う。

みんなに認めてもらえるように頑張るだけでしょ?


何度も何度も言い聞かせても不安だけは消えてくれなかった。


こんな感情だけは前に進めていなくて。



心の中に複雑な感情が渦を巻いた。






「俺たち幹部は、いいと思ってる。
だって、俺らはその東城とか言う奴に負けるほど弱くねぇ……だろぉ!おまえらぁ!」


俊介は下っ端に叫んだ。

いつもと違う俊介の声にビクッと肩を揺らした。



















「そのとおり!」「かかってこいやー!」
「姫を守るぞー!」



一斉に盛り上がる倉庫。




私の頬には何か温かいものがスっと流れた。




ほら、仲間はこんなにも温かい。
私はこの温かさを知ってる。


もう忘れかけていた、温もり。


忘れようとしていた、温もり。






溜め込んでいた感情が涙となって一気に溢れ出した。



涙腺は崩壊して、着替えたジャージは涙で濡れていた。



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