償いのprincess〜2度目の仲間〜《上》
俊介は……否定してくれた。
そのことに、少しホッとして自信がついた。
私を恨んでない…?
そんな希望が生まれた。
「おじいちゃん、私、……」
なんて言えばいい?
ごめんね?許して?
言葉が見つからない。
私がもごもごしていると、おじいちゃんが先に口を開いた。
「………美帆。おじいちゃんはね、一時たりとも美帆を恨んだことがないよ。」
言葉に出さなくても…分かっちゃうんだね。
…恨んだことがない。でも悲しんでいるでしょ?
ねぇ、どうして私の前じゃ泣いてくれないの?
それは、私を憎く思っていたからじゃないの?
私……そんなおじいちゃんの態度が辛かった。
でも一番辛いのは、私じゃなくておじいちゃん。
「おじいちゃん、ごめんね。」
私ができることはこれだけ。
あらためて謝った。
「美帆……」
おじいちゃんは切ない目を私に向けた。
そんな目で見ないでよ……。
泣いちゃうじゃん。
「ままとぱぱは私を庇って死んだんだよ……。そんな私を育ててくれて感謝してる。「美帆…?」
私のために、おじいちゃん、泣かなかったんでしょ?泣けなかったんでしょ?
「美帆。」」
私は泣くのを堪えて言った。
「おじいちゃん、堪えないで。悲しい時は泣いてよ。辛いの知ってるよ?」
私の目には涙がたくさん溜まった。
でも一滴も流さない。瞬きも…しない。
「美帆っ!!」
おじいちゃんはいきなり大きい声で私を呼び、抱きしめた。
怒ってる…??
きつく抱きしめられているから表情は見えない。
「美帆はなんでそんなことを言うんだ!孫である美帆を守った娘達に誇りをもっているよ…」
おじいちゃんは血管のよく見える大きい手で私の頭を撫でる。
おじいちゃんに頭を撫でられたのはいつぶりかな…。
私はなぜだか安心して、瞬きをしてしまった。
咄嗟に下を向いて腕でそれを拭った。
「私の…せいで…死んだんだよ?」
涙は1回流れ出すとなかなか止まらなくて。
目をギュッとつぶって無理やりとめた。
「美帆……、今までそんな辛い思いを…さっき美帆が言ってた言葉、そのまんま返すよ。悲しい時は泣きなさい。辛いだろう。」
おじいちゃんからそんなことを言われると思っていなくて、目を開けて顔をあげた。
またゆっくりと落ちていく涙。
おじいちゃんも泣いていた。