償いのprincess〜2度目の仲間〜《上》



俊介は……否定してくれた。
そのことに、少しホッとして自信がついた。



私を恨んでない…?


そんな希望が生まれた。






「おじいちゃん、私、……」



なんて言えばいい?

ごめんね?許して?

言葉が見つからない。



私がもごもごしていると、おじいちゃんが先に口を開いた。







「………美帆。おじいちゃんはね、一時たりとも美帆を恨んだことがないよ。」




言葉に出さなくても…分かっちゃうんだね。




…恨んだことがない。でも悲しんでいるでしょ?

ねぇ、どうして私の前じゃ泣いてくれないの?


それは、私を憎く思っていたからじゃないの?


私……そんなおじいちゃんの態度が辛かった。




でも一番辛いのは、私じゃなくておじいちゃん。




「おじいちゃん、ごめんね。」




私ができることはこれだけ。




あらためて謝った。




「美帆……」



おじいちゃんは切ない目を私に向けた。


そんな目で見ないでよ……。



泣いちゃうじゃん。





「ままとぱぱは私を庇って死んだんだよ……。そんな私を育ててくれて感謝してる。「美帆…?」

私のために、おじいちゃん、泣かなかったんでしょ?泣けなかったんでしょ?

「美帆。」」



私は泣くのを堪えて言った。



「おじいちゃん、堪えないで。悲しい時は泣いてよ。辛いの知ってるよ?」


私の目には涙がたくさん溜まった。

でも一滴も流さない。瞬きも…しない。






「美帆っ!!」



おじいちゃんはいきなり大きい声で私を呼び、抱きしめた。



怒ってる…??

きつく抱きしめられているから表情は見えない。




「美帆はなんでそんなことを言うんだ!孫である美帆を守った娘達に誇りをもっているよ…」






おじいちゃんは血管のよく見える大きい手で私の頭を撫でる。


おじいちゃんに頭を撫でられたのはいつぶりかな…。


私はなぜだか安心して、瞬きをしてしまった。


咄嗟に下を向いて腕でそれを拭った。





「私の…せいで…死んだんだよ?」




涙は1回流れ出すとなかなか止まらなくて。

目をギュッとつぶって無理やりとめた。





「美帆……、今までそんな辛い思いを…さっき美帆が言ってた言葉、そのまんま返すよ。悲しい時は泣きなさい。辛いだろう。」




おじいちゃんからそんなことを言われると思っていなくて、目を開けて顔をあげた。


またゆっくりと落ちていく涙。





おじいちゃんも泣いていた。


< 61 / 202 >

この作品をシェア

pagetop