麗雪神話~炎の美青年~
ラクールがブレイズから降り、溌剌とした笑顔を二人に向けた。
「やあ! また会いましたね! セレイアさん、ディセルさん」
「ラクールくん。元気そうね」
「こんなに本の山だらけのところで、冒険ごっこはどうかと思うよ」
ディセルがおずおずと忠告すると、ブレイズとラクールは顔を見合わせて笑った。
「そうですね。でもいつものことなので」
そのせいで本の山が崩れ、大抵足の踏み場がないのかもしれないとセレイアは思った。
「さあ~て、動いたらおなかすいちゃった! ブレイズ、お菓子どこだっけ」
「ここにあるよ」
ブレイズが示した先には、ジャムの塗られた小さな焼き菓子が皿に盛られていた。
「いただきま~す!」
ラクールはわきに避けられていた菓子皿に手をのばすと、ひとつ、またひとつと、皿の上のお菓子をばくばくたいらげていく。
え、とセレイアは思った。
―それ、カティリナさんが用意したやつよね。二人で食べるんじゃないの?
そんなふうに思っている間に、ラクールはお菓子を完食してしまった。
「ぶ、ブレイズさんは食べなくてよかったの?」
ディセルも同じことを思ったようだ。
ブレイズは自分のお菓子がなくなったというのに、にこにこしている。
「いいんです。必要な栄養量には個人差がありますからね」
「だよね~」
そう言って笑い合う二人に、ディセルとセレイアはなんだか納得してしまった。
二人はよい友人同士なのだろうと。
ブレイズは遠慮深く心優しいので、ラクールの奔放な行いも気にならないのだろうし、ラクールはラクールで、好き放題やっても、その笑顔に、なんでも許してやりたくなる溌剌さがある。
「やあ! また会いましたね! セレイアさん、ディセルさん」
「ラクールくん。元気そうね」
「こんなに本の山だらけのところで、冒険ごっこはどうかと思うよ」
ディセルがおずおずと忠告すると、ブレイズとラクールは顔を見合わせて笑った。
「そうですね。でもいつものことなので」
そのせいで本の山が崩れ、大抵足の踏み場がないのかもしれないとセレイアは思った。
「さあ~て、動いたらおなかすいちゃった! ブレイズ、お菓子どこだっけ」
「ここにあるよ」
ブレイズが示した先には、ジャムの塗られた小さな焼き菓子が皿に盛られていた。
「いただきま~す!」
ラクールはわきに避けられていた菓子皿に手をのばすと、ひとつ、またひとつと、皿の上のお菓子をばくばくたいらげていく。
え、とセレイアは思った。
―それ、カティリナさんが用意したやつよね。二人で食べるんじゃないの?
そんなふうに思っている間に、ラクールはお菓子を完食してしまった。
「ぶ、ブレイズさんは食べなくてよかったの?」
ディセルも同じことを思ったようだ。
ブレイズは自分のお菓子がなくなったというのに、にこにこしている。
「いいんです。必要な栄養量には個人差がありますからね」
「だよね~」
そう言って笑い合う二人に、ディセルとセレイアはなんだか納得してしまった。
二人はよい友人同士なのだろうと。
ブレイズは遠慮深く心優しいので、ラクールの奔放な行いも気にならないのだろうし、ラクールはラクールで、好き放題やっても、その笑顔に、なんでも許してやりたくなる溌剌さがある。