麗雪神話~炎の美青年~
茂みからもう一匹、背後からもさらにもう一匹、プミールが姿を現したのだ。そして彼らは皆最初のプミールと同じように、セレイアに寄って来ては撫でてくれとせがんだ。

すぐにでも背中に乗せてくれそうな気配に、セレイアはとまどった。

ちょうどその場面を、四人の族長候補たちに目撃されてしまった。

「どういうことだ、女」

「セレイアさん、すごい……」

「おい、そのプミールをよこせ。すぐにでも儀式を終わらせてやる」

族長候補たちが近づいてくると、プミールたちの態度は豹変した。

牙を剥き威嚇したかと思うと、さっと茂みの中へ逃げて行ってしまった。

「なんなんだ、一体……」

「女、どんな手を使ったのか教えろ」

「どんな手って言われても……」

特に何もしていないのだから教えようがない。

仮に手があったとしても、教えたら即処罰の対象となるだろう。今も耳を澄ます者達の気配がしている。

「何者なの、セレイアさん……」

呆然としたブレイズの呟きは、セレイアの耳まで届いていなかった。
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