麗雪神話~炎の美青年~
誰一人プミールをてなずけることなく、二日目の日が暮れた。

泉のそばの野営地に集まった六人のうち、族長候補たちの疲労の色は濃い。セレイアとディセルがせっせと夕食作りに励んでいると、ビッチィが突然切羽詰った表情でセレイアに声をかけてきた。

「おい、セレイア。お前、本当にどうやってプミールを手なずけた? こっそりでいいから、俺だけに教えてくれ」

ビッチィは小声のつもりのようだったが、その台詞は他の族長候補たちの耳にばっちり届いてしまっていたようだ。

「おいビッチィ、一人だけ反則をするつもりか」

「頭の腐った野郎め」

ビッチィは開き直った。

「だって。お前たちは焦らないのか? 今日はプミールの姿さえろくに見られなかったんだぞ」

「………」

もっともだと思ったのか、ほかの候補たちが口をつぐむ。

「あのね、だから私は何も――――」

―あ。

セレイアはぱっと表情を明るくした。

―いいこと思いついた。
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