麗雪神話~炎の美青年~
(こうでも言えば、協力するでしょ。そうなれば、仲良くなるきっかけもつかめるわ。それでいて儀式もきっと、協力した方がうまくいくだろうし、一石二鳥よ)

あたりに沈黙が落ちた。

やがてその沈黙を破ったのは、ブレイズだった。

「やってみない? みんな」

「―ブレイズ」

ブレイズは真摯な瞳を一同に向けた。

「今のまま別々に挑戦していては儀式を成功させられないよ。やれることならやってみたほうがいいと思う。僕、なんとしてでも儀式を成功させて、族長になりたい。みんなもそうでしょ?」

「……………」

ヴァイパ、アヴァ、ビッチィがうつむいて黙り込んだ。

セレイアとディセルは何も口を挟まず、成り行きを見守ることにした。

長い沈黙ののち、ヴァイパが髪をかきあげながらセレイアに鋭い視線を送った。

「で、協力って、具体的にどうすればいいんだ?」

これに驚いたのは残った二人だ。

「ヴァイパ」

「お前、協力するのかよ」

「族長になりたいんだ。仕方ないだろ。やってみるしかない」

抗いようのない流れを感じたのだろう、アヴァもビッチィも、しぶしぶと言った様子ながら最後には頷いてくれた。

(うまくいった!)

セレイアは満面の笑みだ。

「具体的にどうするかは、教えられないけれど。まずは互いが持って来た道具や何かを広げて、仲良く作戦を練って見たらどうかしら?」

こうして始まった作戦会議は、ああでもないこうでもないと、夜中まで続いた。
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