麗雪神話~炎の美青年~

「そっちにいったわよ!」

「お、おう!」

「よぉっし、つかまえたぜ!」

「これで四頭目ね、作戦第一段階終了だわ」

セレイアが額の汗をぬぐい、満足げに息をつく。

六人が囲んだ網の中には、一匹のプミールが入っていた。

必死でこちらを威嚇している様子を見ているとかわいそうにも思えるが、作戦のためだから我慢してもらうしかない。

セレイアたちが昨夜立てた作戦は、こうだ。

まず、それぞれが儀式に際して持ち込んできた品物を広げて見た。

ヴァイパは大きめの網をひとつ持っていた。

アヴァはテント用に杭をいくつか、ビッチィは万能トンカチを持っていた。

ブレイズは何も持ってきてはいなかったが、そのプミールに好かれそうな心優しい性格がある。

よって知恵を絞り、一同が考えた作戦は……。

網でプミールを合計四頭捕え、野営地まで運び、杭をトンカチで打って、網を固定。その上でまずはブレイズが優しく四頭に近づき世話をし、徐々に世話係をそれぞれが担当するというものだった。

心の距離を近づけるには、まずは交流を持たねば始まらない。

この作戦なら、セレイアたち護衛の過干渉にもならないだろう。

大きめの網はヴァイパの案でひとつをみんなで四等分にしてなんとかした。

暴れるプミールを全員で網ごと野営地まで移動しながら、セレイアは作戦がうまくいくことを祈っていた。

野営地には四つの網に、とらえてきた四頭のプミールが勢ぞろいした。皆閉じ込められて不機嫌そうだ。
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