麗雪神話~炎の美青年~
第七章 愛の涙

無事儀式を終えることができた族長候補たちは、それぞれの町へ帰っていった。セレイアたちもブレイズと共に、アル=ハルのいる火の部族の町へと帰った。

しかし、帰りついてみると、町の様子がおかしかった。

ぴりぴりと張り詰めた空気。

活気がなく、人の姿もなく、どこかカランとしている。

いったいこの町に何があったのだろう。

三人はとるものもとりあえず族長の天幕へと急いだ。

しかし天幕の中は無人だった。

アル=ハルも、カティリナもいない。

「いったいどういうことだろう…」

三人が途方に暮れていると、通りがかったおじさんが教えてくれた。

「ブレイズ様じゃないですかい! 急いで屋内に入って、じっとしていたほうがいい。みんなそうしてる」

「どうしてですか?」

「戦争が始まるんだよ」

その言葉を、セレイアは聞き間違えたのかと思った。

ブレイズもディセルも隣で息をのんだ。
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