麗雪神話~炎の美青年~
2
セレイアはプミラを限界まで飛ばした。
「あとで必ずたくさん休ませてあげるから、だからお願い、今はあなたが頼りなの」
セレイアが時折プミラの頭を撫でると、プミラは「任せて」とでも言うようにきゅ~と鳴いて答えてくれる。
風に乗り、速度を上げて、プミラは翔ける。
なるべく風の抵抗を受けないようにプミラの背に伏せていても、ごうごうと耳元で風が鳴り、耳がちぎれそうだ。それでもセレイアは速度を落とさなかった。
そしてやっと進軍するカティリナ軍に追いつくことができたのは、国境砦に着いてしまってからだった。
赤いプミール軍が数百騎、トリステアの国境砦に今にも群がろうと、渡河しようとしているのが見える。
(様子が変だわ! トリステア軍はどうしたというの!?)
何もせずにむざむざ侵攻を許すトリステアではないのに。
セレイアが目を凝らすと、砦の上にたくさんの白プミール軍の姿が確かにあった。
しかし……
例外なく、白プミールたちはぐったりと横たわり、その上に覆いかぶさるようにして、兵士たちが倒れている。
戦う前から倒れているなど、尋常ではない!
何事かと思った時、気が付いた。
トリステアの国境砦を取り巻く、どす黒い霧のようなものに。
セレイアの直感が告げる。
あの霧が、トリステア軍を壊滅させたのだと。
そして赤プミール軍が皆、ゴーグルをしていることにも気が付いた。
きっと数時間も前、不意打ちで、トリステア軍が霧に気づけないうちに、ことをなしたのだろう。
「あとで必ずたくさん休ませてあげるから、だからお願い、今はあなたが頼りなの」
セレイアが時折プミラの頭を撫でると、プミラは「任せて」とでも言うようにきゅ~と鳴いて答えてくれる。
風に乗り、速度を上げて、プミラは翔ける。
なるべく風の抵抗を受けないようにプミラの背に伏せていても、ごうごうと耳元で風が鳴り、耳がちぎれそうだ。それでもセレイアは速度を落とさなかった。
そしてやっと進軍するカティリナ軍に追いつくことができたのは、国境砦に着いてしまってからだった。
赤いプミール軍が数百騎、トリステアの国境砦に今にも群がろうと、渡河しようとしているのが見える。
(様子が変だわ! トリステア軍はどうしたというの!?)
何もせずにむざむざ侵攻を許すトリステアではないのに。
セレイアが目を凝らすと、砦の上にたくさんの白プミール軍の姿が確かにあった。
しかし……
例外なく、白プミールたちはぐったりと横たわり、その上に覆いかぶさるようにして、兵士たちが倒れている。
戦う前から倒れているなど、尋常ではない!
何事かと思った時、気が付いた。
トリステアの国境砦を取り巻く、どす黒い霧のようなものに。
セレイアの直感が告げる。
あの霧が、トリステア軍を壊滅させたのだと。
そして赤プミール軍が皆、ゴーグルをしていることにも気が付いた。
きっと数時間も前、不意打ちで、トリステア軍が霧に気づけないうちに、ことをなしたのだろう。