麗雪神話~炎の美青年~
もう仕方がなかった。

セレイアは背中の槍をすらりと引き抜き構えると、飛び出してきた一騎の前にまわった。

「ここは通さないわ! 私、神聖王国トリステア姫巫女、セレイアが相手よ!」

かっと目を見開き名乗ると、相手は怯んだようだった。

ざわざわと周囲が落ち着かなくなる。

「…なんだって?」

「トリステアの姫巫女?」

「槍の名手だと聞いたが…」

「姫巫女がなぜこんなところに」

その隙を突き、セレイアから攻撃を仕掛けた。

「はっ!! たっ! やああ!!」

鮮やかな槍技で、セレイアは続けざま三騎の赤プミール兵をなぎ倒した。

それを見て、赤プミール兵たちは、セレイアが紛れもなく姫巫女であると気付いたようだった。彼らの動きが恐れから鈍る。

「ええい怯むな! 相手は小娘一人! 皆でかかってすぐに討ち取りなさい!」

カティリナの一喝で、兵士たちは我を取り戻したようだ。

「そうだ! 圧倒的に俺たちの方が数が多い!」

「やれやれ―――!!」

(やられてたまる、もんですか!)
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