麗雪神話~炎の美青年~
「わあ、すごい…!」
セレイアは両腕を広げ、それから勢いよく両手を組んでうっとりした。
はじめての異国の風景は、想像をはるかに上回る新鮮さだったのだ。
陽炎ゆらめく中、まっすぐに続く砂利道の周りに、ずらりと並ぶテントのような住居は鮮やかに染め抜かれた真紅。
木の枠にほろをかけただけの出店があちこちに出ていて、人であふれかえっていた。
出店の台の上には見たこともないような鮮やかな色合いの果物が豊富に並び、あっちでもこっちでも値切る客と店主との掛け合いが起こっている。
鶏たちが堂々と道を横断し、なんとも賑やかなこと。
この埃っぽくすらあるような雑多な喧騒は、しんと雪の降り積もるトリステアにはないものだった。
「わあ、あれもおいしそう! せっかくだから何か食べて見ましょうかディセル」
今にも駆け出しそうなセレイアを、ディセルが目を細めて見つめる。
「いいよ、好きなものを買って」
「ええ! どれにしようかな、やっぱり果物がいいかしら」
セレイアが瞳を輝かせて果物を覗き込んでいると、店主が声をかけてきた。
「きれいなお嬢ちゃん、珍しいね、北の人だろう。このフルーツなんてどうだい? 甘酸っぱくてほっぺたが落ちるよ」
「じゃあ、それにします!」
セレイアは両腕を広げ、それから勢いよく両手を組んでうっとりした。
はじめての異国の風景は、想像をはるかに上回る新鮮さだったのだ。
陽炎ゆらめく中、まっすぐに続く砂利道の周りに、ずらりと並ぶテントのような住居は鮮やかに染め抜かれた真紅。
木の枠にほろをかけただけの出店があちこちに出ていて、人であふれかえっていた。
出店の台の上には見たこともないような鮮やかな色合いの果物が豊富に並び、あっちでもこっちでも値切る客と店主との掛け合いが起こっている。
鶏たちが堂々と道を横断し、なんとも賑やかなこと。
この埃っぽくすらあるような雑多な喧騒は、しんと雪の降り積もるトリステアにはないものだった。
「わあ、あれもおいしそう! せっかくだから何か食べて見ましょうかディセル」
今にも駆け出しそうなセレイアを、ディセルが目を細めて見つめる。
「いいよ、好きなものを買って」
「ええ! どれにしようかな、やっぱり果物がいいかしら」
セレイアが瞳を輝かせて果物を覗き込んでいると、店主が声をかけてきた。
「きれいなお嬢ちゃん、珍しいね、北の人だろう。このフルーツなんてどうだい? 甘酸っぱくてほっぺたが落ちるよ」
「じゃあ、それにします!」