麗雪神話~炎の美青年~
「そ…んな………」
カティリナは呟き、構えた剣先を震わせている。
セレイアだってカティリナと同じセリフを呟きたかった。
呟きたかったが、驚きすぎて何も言葉が出てこなかった。
(炎の神、炎の神ですって…!?)
やがて、カティリナの目に、涙が浮かんだ。
「それでも私は…! 暗殺者として育てられた私があの方のお役に立つ方法は、これしか…! これしか…!!」
それでもがむしゃらに炎の砦に突っ込んでいこうとしたカティリナの肩を、しっかりとつかむ者がいた。
「カティリナ。もう、やめなさい」
その声は、低く、穏やかでいながら、強い意思を秘めた声だった。
カティリナの瞳が見開かれる。振り返らないでも、声でわかったのだ。
彼女を止めたのが、誰なのか。
「…アル=ハル様……」
カティリナの手から、細剣が滑り落ちた。
そのままプミールから落ちそうになるカティリナの体を、アル=ハルがしっかりと抱きかかえる。
「カティリナ。こんなことをしなくても、お前は十分私を助けてくれているよ。こんなに長い間一緒にいて、そんなこともわからないのか?」
「…………」
「さあ、帰ろう。避難誘導で疲れたんだ。茶でも入れてくれ」
「アル=ハル様…!!」
わっと泣き出しながら、カティリナはアル=ハルにしがみついた。
混乱する頭の中で、唯一これだけは理解できた。
トリステアは、助かったのだと―。
カティリナは呟き、構えた剣先を震わせている。
セレイアだってカティリナと同じセリフを呟きたかった。
呟きたかったが、驚きすぎて何も言葉が出てこなかった。
(炎の神、炎の神ですって…!?)
やがて、カティリナの目に、涙が浮かんだ。
「それでも私は…! 暗殺者として育てられた私があの方のお役に立つ方法は、これしか…! これしか…!!」
それでもがむしゃらに炎の砦に突っ込んでいこうとしたカティリナの肩を、しっかりとつかむ者がいた。
「カティリナ。もう、やめなさい」
その声は、低く、穏やかでいながら、強い意思を秘めた声だった。
カティリナの瞳が見開かれる。振り返らないでも、声でわかったのだ。
彼女を止めたのが、誰なのか。
「…アル=ハル様……」
カティリナの手から、細剣が滑り落ちた。
そのままプミールから落ちそうになるカティリナの体を、アル=ハルがしっかりと抱きかかえる。
「カティリナ。こんなことをしなくても、お前は十分私を助けてくれているよ。こんなに長い間一緒にいて、そんなこともわからないのか?」
「…………」
「さあ、帰ろう。避難誘導で疲れたんだ。茶でも入れてくれ」
「アル=ハル様…!!」
わっと泣き出しながら、カティリナはアル=ハルにしがみついた。
混乱する頭の中で、唯一これだけは理解できた。
トリステアは、助かったのだと―。